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『牝』(東映東京1964:渡辺祐介)

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 『牝』(東映東京1964:渡辺祐介)をフィルムセンターにて見る。520円。
 特集「生誕100年 木下忠司の映画音楽」の一篇。
 『二匹の牝犬』(東映東京1964:渡辺祐介)、『悪女』(東映東京1964:渡辺祐介)などの流れをくむ肉体を武器に逞しく生きる女の生き様を描いた作品かと思いきや、なんと、なんと、吃驚仰天!
 弁護士・中村伸郎の大学生の娘・緑魔子は、かつて父の事務所にいた菅佐原英一と不倫関係。それを知った久保菜穂子は中村伸郎と関係を結ぶ、、、。
 キスシーンはあっても肉体が絡み合うベットシーンはなし。ジェリー藤尾・佐々木功と緑魔子との乱交シーンも上半身ブラジャーを身に着けたまま。
 ひたすら緑魔子の顔にカメラを合わせたまま。監督がいかに女優・緑魔子に惚れきっていたかがわかる作品である。緑魔子、中村伸郎、久保菜穂子は好演であるが、肝心の菅佐原英一がちょいと弱い。東映にはこのキャラクターを演じる役者はおらず、いつも外部に頼っている。岡田英次や木村功では大物すぎて、緑魔子の魅力が生かせない。だからこその菅佐原英一のキャスティングかも。
 それにしても、四角関係から、父子の近親相姦へと昇華する展開は見応え充分。これだけぎっしり詰まって89分に収める職人芸を、だらだらと長いばかりの映像を垂れ流している最近の監督たちに学んでほしいものだ。

2016年5月25日(水)鑑賞

      スタッフ
監 督       渡辺 祐介
脚 本       馬場  当
企 画       吉野 誠一
 〃        片桐  譲
撮 影       星島 一郎
美 術       中村修一郎
音 楽       木下 忠司
録 音       岩田 広一
照 明       森沢 淑明
編 集       田中  修
スチル       田中真紀夫
助監督       降旗 康男

      キャスト
中村 伸郎     首藤栄太郎(弁護士)
緑  魔子     栄太郎の娘つや子
菅佐原英一     半沢(かつては首藤の書生)
久保菜穂子     半沢の妻・絹
ジェリー藤尾    設楽次郎(つや子の同級生である大学生)
佐々木 功     吉田(設楽の友人でボクシング4回戦ボーイ)
小峰千代子     首藤家の婆や
安城百合子     絹が買い物をした店の女店員
矢島由紀子     テレビ局の女性アナウンサー 
小甲登枝恵     看護婦
小林 テル     別の看護婦
岡野 耕作     医師
原  信夫     工員
  ?       首藤の妻
室田日出男     首藤弁護士事務所の所員

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