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『ベトナムの風に吹かれて』(2015:大森一樹)

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 『ベトナムの風に吹かれて』(2015:大森一樹)を有楽町スバル座にて見る。1100円。パンフレット700円。
 これはいい、実にいい。認知症、介護、老後、ベトナム独立戦争と残留日本人との関わり、日本でのベトナム反戦運動、そして現在のベトナムの人々の暮らしぶり、それらを極上のエンターテイメントで包んで見せてくれた、脚本・北里宇一郎と大森一樹監督に乾杯!!!!!
 ベトナム・ハノイで日本語教師として働く佐生みさお。新潟の父が亡くなり、認知症の母が一人残った。後妻に入った母の血縁者は自分ひとり。周囲の反対を押し切り、ベトナムに連れて帰ることに。
 ベトナムの人々との交流が暖かく描かれていて、実に気持ち良い。シズエとベトナムに残された妻・スアンとの出会い。認知症になったがかつての舞台のセリフはしっかり覚えている大女優との交流。それらのすべての人々と満面の笑顔で接している草村礼子が実にいい。彼女なくしてこの作品は成立しなかったと言っていい。『Shall we ダンス?』(1996:周防正行)を超える代表作の誕生である。
 自分の母親の介護経験を積んでの松坂慶子がこれまたいい。日本語学校でのやさしい先生、住まいの人々に深く溶け込んだ生活ぶり。そんな暖かさだけでなく、母親の「便所に行きてえ!」コールに疲れ切った姿、表情が実にリアルである。あるいは、旧友・奥田瑛二にちょっと甘えかける女のしぐさもいい。おまけに歌まで聴かせてくれるサービスぶり。
 情報量がたっぷりつまって、しかも飽きさせない一級品の映画を堪能させてもらいました。感謝、感謝です。
 10月27日鑑賞。
     キャスト
松坂 慶子       佐生みさお(ハノイ在住の日本語教師)
草村 礼子       佐生シズエ(みさおの母親)
チャン・ニュオン    「青年劇場」支配人・タイン
グエン・ラン・フーン  「カフェ」店主・フエ
チャン・ハイン     将軍・ソン(元俳優)
ビン・スエン      シクロオーナー・グエン
バン・バウ       守衛・ダオ(元ドレッサー)
ジエム・ロック     フォン・ホアン(伝説の国民的女優、フエの母親)
ルー・アイン・トゥアン VOV(ベトナムの声)ディレクター・トゥアン
ホアン・ベト・ナー   ヒエン(タインの娘、歌手)
ファム・トゥイ・リン  ラン(日本語学校の生徒、フエの娘)
トゥー・タオ      ホン(日本語学校の生徒、サクラホテルの従業員)
グエン・ラム      マイン(日本語学校の生徒、サクラホテルの従業員)
マイ・テャウ      スアン(真希の祖父がベトナムに残留した時の妻)
スエ・ハット      ズオン(真希の祖父とスアンの息子)
藤江れいな       VOVのリスナー(写真家志望の学生)
山口 森広       ドエン=遠藤(シクロ運転手)
貴山 侑哉       桜木光敏(サクラホテルのオーナー)
斎藤 洋介       菊池啓太(居酒屋「昭和」店主)
吉川 晃司       吉川晃司(本人役、友情出演)
柄本  明       佐生雄一郎(みさおの兄)
松金よね子       佐生幸子(雄一郎の妻)
奥田 瑛二       小泉民生(みさおの旧友)

櫻井 琳泉
佐藤  希
星野 賢一
鈴木 秀喜
石田 哲彌
石田 龍吾
小泉 哉子
ファン・スアン・ハイン
チャン・チィ・フェ
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