『少年H』(2013:降旗康男)をユナイテッド・シネマ豊洲スクリーン6にて見る。1000円、パンフレット600円。
普通の庶民家庭が戦争に巻き込まれながらも、いかに自分たちの良心を失わずに生き抜いたか、というお話。
少年H=妹尾肇(吉岡竜輝)の素朴な疑問に対して、丁寧に答える父親・妹尾盛夫(水谷豊)の誠実な態度がすばらしい。また、クリスチャンである母親・妹尾敏子(伊藤蘭)のわが子への厳しいしつけ、その反面困っている人たちへの隣人愛を実践する姿勢、実に愛情に満ちあふれている。
これは戦中・戦後の話としてではなく、現代にも通じる家庭の在り方として、実に学ぶべきことが多い作品である。
たとえば、少年Hがアメリカの知人からの絵ハガキを親友に見せたことにより、父親がスパイ容疑で捕まる。絵ハガキのことを周りにしゃべった親友に怒って報復しようとするH。それを制止する父親。「今、一番困っているのはいっちゃん(親友)じゃないのかな? 肇が絵ハガキを見せなければ、こんなことにもならなかったんだよ」とやさしく諭す。Hは怒りをおさめ、素直な気持ちでいっちゃんに謝る。
自分が困難な状況の中でも、相手を思いやる気持ち、これをさりげなく教えてあげる父親。家庭教育の基本がいっぱいつまっている。
近頃の若者は、戦争があったことすら知らない、学校で何を教えているんだ、と必ず言う人がいる。でも、学校で教えなければ家庭で教えればいいじゃないか。基本的なしつけから勉強まで、何でもかんでも学校任せというのはおかしい。家庭でも教えることはいっぱいある。そんなことを反省させられたすばらしい作品であった。
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